事業承継・引継ぎ補助金 令和2年度第3次補正予算 完全ガイド

事業承継・引継ぎ補助金 令和2年度第3次補正予算 完全ガイド

事業承継・引継ぎに関する経費の最大800万円を上限に補助率2/3を国が補助

令和3年5月24日に中小企業庁が、令和2年度第3次補正予算「事業承継・引継ぎ補助金」の公募を開始しました。この記事では、令和3年度に実施される「事業承継・引継ぎ補助金」の制度について解説します。

中小企業・小規模事業者は、地域の経済や雇用を担う上で非常に重要な存在です。しかし2025年までに、平均引退年齢である70歳を超える中小企業の経営者は約245万人となり、そのうち約半数の127万(日本企業全体の約3割)が後継者未定となっています。そこで、中小企業庁では、地域の貴重な経営資源を散逸させることなく、次世代へ引き継ぐため、事業承継・引継ぎを支援する補助事業を実施しています。

「事業承継・引継ぎ補助金」は、そうした補助事業のひとつです。事業を引継ぐ際に掛かる費用、または引継ぎ後の革新的な取り組みに掛かる費用に対し、最大800万円を上限に国が一定の金額を補助します。事業承継やM&A(事業再編・事業統合等。経営資源を引き継いで行う創業を含む。)を契機とした経営革新等への挑戦や、M&Aによる経営資源の引継ぎを行おうとする中小企業者等を後押しして、経営資源の散逸を防ぐことを目的としています。令和2年度第3次補正予算枠では、大きく(A)経営革新と(B)専門家活用の2タイプがあり、活用したい人の状況に合わせて全部で5つの型が用意されています。

なお、利用できる人は、中小企業の代表、個人事業主、特定非営利活動法人などです。大企業や一般社団法人、一般財団法人などは対象外なので、ご注意ください。

 募集期間は、以下の通りです。

[令和2年度第3次補正予算枠]

  • 一次募集:2021/6/11~2021/7/12(終了)
  • 二次募集:2021/7/13~2021/8/13 18:00

[令和3年度当初予算枠]

  • 未定

事業承継・引継ぎ補助金は他の補助金よりも広範囲をカバー

「事業承継・引継ぎ補助金」の特徴を解説します。その他の補助金ではあまり見かけないような特徴もいくつかありますので、自分が対象になるかぜひご覧ください。

事業承継予定、創業予定であっても申請可能

まず大きな特徴は、事業承継予定、創業予定の時点で申請が可能であることです。通常、こうした補助金に課せられる申請者条件では、申請時点でその条件を満たしている事実が確認できる必要があることが多いです。しかし、「事業承継・引継ぎ補助金」では、申請時点で事業を引き継いでいなくても、または創業していなくても、補助事業期間終了時点までにその予定があれば、申請資格を有しているとみなされます。「申請期限までに承継手続きが間に合わない…!」と考えていた方も、ぜひ検討してみてください。

事業承継した日を過去に遡って検討可能

将来の予定でも申請要件を満たす、という点について解説しました。これに加えて、過去に遡っても申請要件の対象期間とできる点が2つ目の特徴です。令和2年度第3次補正予算枠の募集要項では、2017/4以降に事業承継した者であれば、申請対象者となることができます。4年以上前に事業承継をしていても、これから新しい取り組みを始めるのであれば、その経費を補助してくれます。

幅広い経費の使い道

3つ目の特徴は、対象経費の範囲が幅広いことです。事業承継・引継ぎ補助金では、事業承継を契機に挑戦する新しい取り組みに対し、これに伴う経費を幅広くカバーしてくれます。例えば、他の補助金制度では滅多に対象とならない経費の一つが人件費です。「事業承継・引継ぎ補助金」では、新たな取り組みを行うに当たって必要となる社員の人件費も、対象経費と認めてくれます。また、専門家活用タイプでは、高額になりがちなM&Aの仲介手数料やデューデリジェンス費用について、対象経費になります。

廃棄に掛かる費用を別枠で申請できる(200万円まで)

4つ目の特徴は、引継ぎ元の廃棄に掛かる様々な費用は、各申請類型の上限金額とは別枠で申請することができる点です。例えば、経営革新タイプのM&A型(Ⅲ型)の補助上限金額は800万円ですが、引継ぎした工場の解体費用や在庫処分費用などは、別枠で200万円まで申請することができ、これにより最大1,000万円までの補助を受けることができるようになります。 

このように「事業承継・引継ぎ補助金」には、他の補助金制度ではあまり見かけない嬉しい特徴がたくさんあります。自分は対象じゃないかも、と諦めていた方も、ぜひ一度検討されることをお勧めします。

事業承継・引継ぎ補助金 予算

現時点で判明している予算枠と予算規模は、以下の2つです。

  •  令和2年度第3次補正予算:56.6億円
  • 令和3年度当初予算:16.2億円

令和2年度第3次補正予算の方が、大きな予算規模になっていることがお分かりいただけると思います。ただし、これは国として事業承継の取り組み支援に対する課題意識が低くなっていることを意味している訳ではありません。国としては、事業承継やそれを契機にした経営革新の取り組みを促進する必要性を強く意識していることを公式に発表しています。

(参照:中小M&A推進計画)

今後も、中小企業の事業承継・経営革新の促進に対する様々な支援策が出てくるのではないかと考えられます。引き続き注目の分野となりそうです。

事業承継・引継ぎ補助金 補助率・補助条件

「事業承継・引継ぎ補助金」の補助率・補助条件について記載します。令和2年度第3次補正予算枠と令和3年度当初予算枠で少し異なるので、注意が必要です。なお、令和3年度当初予算枠の補助条件は、予算閣議決定時点の公開情報であり、最終確定情報ではありません。今後変更される可能性がありますので、ご了承ください。

[令和2年度第3次補正予算枠]

[令和3年度当初予算枠]

事業承継・引継ぎ補助金 令和2年度との違い

 従来の「事業承継・引継ぎ補助金」との大きな違いは、申請区分と申請方法です。申請区分では、経営資源を引き継いで行う新しい取り組みへの支援に対し、スタートから発展支援までの受入れ窓口を統一するよう変更されました。また申請方法では、従来の書類の郵送方式から、専用ポータルサイトからの電子申請のみの受付に変更となりました。 

「事業承継・引継ぎ補助金」は、令和2年度第3次補正予算枠以前までは2つの異なる補助金制度でした。(A)経営革新タイプは従来の「事業承継補助金」、(B)専門家活用タイプは従来の「経営資源引継ぎ補助金」です。今回から、2つの補助金制度が一つになり、事業承継の準備から経営革新の実行までをワンストップで支援できる体制となりました。令和3年度当初予算枠では創業支援型の記載はありませんが、引き続き一つの補助金制度としてワンストップ支援体制で運営していくものと思われます。

 (A)経営革新タイプについて、従来の事業承継補助金は、経営者交代型とM&A型の2類型のみでした。しかし令和2年度第3次補正予算枠では「創業支援型(Ⅰ型)」が新たに追加され、3類型になりました。

また(B)専門家活用タイプについて、従来の経営資源引継ぎ補助金では、買い手支援型、売り手支援型の区分の配下に、経営資源の引継ぎを促すための支援と実現させるための支援の2種類があり、該当する種類に応じて申請類型が異なっていました。それが、今回の「事業承継・引継ぎ補助金」では、経営資源の引継ぎを促すための支援と実現させるための支援の区分が廃止され、申請類型が統一されました。

申請方法については、本補助金からは、専用ポータルサイトからの電子申請のみの受付となりました。専用ポータルサイトは「jGrants(ジェーグランツ)」と言います。このポータルサイトから、申請したい補助金(今回であれば、「事業承継・引継ぎ補助金(令和2年度第3次補正予算枠)」)を選択し、申請フォームの入力や必要資料のアップロード、申請状況のステータス確認などを行います。なお、こちらのポータルサイトにログインするには、別途「gBizプライムID」というIDを取得する必要があります。印鑑証明書の提出などが求められるほか、混み合っている時期だと発効までに1ヶ月近く要するケースもありますので、早めにご準備することをおすすめします。

事業承継・引継ぎ補助金 申請時の注意点

「事業承継・引継ぎ補助金」申請時の注意点を記載します。実際に申請をしてみて初めて感じた点も含みますので、ぜひ申請のご参考にしてみてください。 

認定支援機関への相談はお早めに

「事業承継・引継ぎ補助金」の申請には、経営革新等認定支援機関に、作成した事業計画を確認してもらい、その旨を記載した「確認書」を提出する必要があります。経営革新等認定支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関のことです。事業計画を一緒に考えてもらったり、様々なアドバイスを受けたりすることができます。

事業計画の作成は、検討事項の多さから一定の時間が必要になります。どんなに経験豊富な人材でも、2~3週間はかかるでしょう。逆に2,3日で出来上がるような事業計画は、検討不足のことが多く、信頼性に欠けると見た方が良いと思います。

今年度は「事業再構築補助金」などでも認定支援機関の確認書が必要となっているため、例年以上に認定支援機関のキャパシティーが逼迫している模様です。期限の近い依頼の場合は、断られてしまうこともありますので、時間に余裕をもって協力の依頼をするようにしてください。

経営革新タイプ(Ⅱ、Ⅲ型は)、従業員1名以上の増員計画か「経営革新計画」や「先端設備導入計画」の認定を取る必要がある

経営革新タイプのうち、創業支援型(Ⅰ型)を除く、代表者交代型(Ⅱ型)とM&A型(Ⅲ型)で申請する場合、以下のどちらかの要件を満たす必要があります。

A)  計画期間中に1名以上従業員数を増加させること

B)  申請時点で「経営革新計画」または「先端設備導入計画」の認定を受けていること

申請時点で、上記のうちのどちらの計画で申請するのかを明記し、それに沿った事業計画でないと、そもそも申請することができませんので、ご注意ください。ただし、「経営革新計画」や「先端設備導入計画」は、会社として取得していれば、申請事業と直接の関わりがなくても大丈夫とのことです。以前認定された計画がないかを確認した上で、どのような計画で申請するかを検討してみてください。

単に設備やモノだけ引き継ぐだけではダメ(有機的一体物の承継)

「事業承継・引継ぎ補助金」の前提として必要な事業承継ですが、単に設備やモノだけを引き継いだだけでは、本補助金の申請要件を満たしません。従業員やノウハウ、取引先などを引き継いで、その資源をベースにさらなる発展を目指す取り組みが必要となります(「有機的一体物の承継」と表現されています)。明確な線引きがないため判断が難しい所ですが、迷った場合は、計画作成前に認定支援機関へご相談することをおすすめします。

入力項目が多い(500項目超)

上述のとおり、事業承継・引継ぎ補助金の申請は、全てポータルサイト(jGrants)で行います。事前に用意しなければならない資料や入力項目内容の難易度自体は、そこまで難しいものではないのですが、ポータルサイト上で入力すべき内容がかなりのボリュームになっています。申請する区分にもよりますが、500個近い項目に入力していかねばならず、これだけでも多くの時間を要してしまいます。各項目への入力内容は、事前に別ファイルに用意しておき、ポータルサイトへの転記は、基本的にコピー&ペーストで済ませられるように準備しておきましょう。

創業支援型(Ⅰ型)がなくなる可能性あり

正式な要綱発表前なので不確定要素ではありますが、令和3年度当初予算枠からは、経営革新タイプのうち創業支援型(Ⅰ型)がなくなる可能性があります。令和3年度当初枠の予算関連事業資料では、同補助金の予算が組まれているものの、創業支援型(Ⅰ型)の表記がなくなっています。本補助金の創業支援型を活用しようと考えていた場合は、今後の公開情報に注意が必要になりそうです。

申請ができる補助対象経費

本補助金の対象経費は、経営革新等にかかる費用(設備投資費用、人件費、店舗・事務所の改築工事費用等)および、引継ぎ時の専門家等活用に係る費用(M&A支援業者に支払う手数料、デューデリジェンスにかかる専門家費用等)や、経営革新・経営資源の引継ぎに伴う廃業費用です。

注意したいのは、①開発に伴う原料費は対象である一方、量産後の製品原価(材料費など)は対象外であること、②(事前着手申請により認められている場合を除き)交付決定日以前に契約や発注を行っている経費は補助対象経費とならないことです。

以下に具体的を記載しますので、ご自身の取り組みが対象になりそうかご一読ください。

[対象経費一覧]

<経営革新タイプ>

事業費
費用名概要
人件費補助対象事業に要する賃金
店舗等借入費国内の店舗・事務所・駐車場の賃借料・共益費・仲介手数料
整備費国内の店舗・事務所の工事、国内で使用する機械器具等調達費用
原材料費試供品・サンプル品の製作に係る経費(原材料費)
産業財産権等関連経費補助対象事業実施における特許権等取得に要する弁理士費用
謝金補助対象事業実施のために謝金として依頼した専門家等に支払う経費
旅費販路開拓等を目的とした国内外出張に係る交通費、宿泊費
マーケティング調査費自社で行うマーケティング調査に係る費用
広報費自社で行う広報に係る費用
会場借料費販路開拓や広報活動に係る説明会等での一時的な会場借料費
外注費業務の一部を第三者に外注(請負)するために支払われる経費
委託費業務の一部を第三者に委託(委任)するために支払われる経費
(事業承継・引継ぎ補助金(令和2年度第3次補正予算枠)公募要領より引用)

廃業費
費目名概要
廃業登記費廃業に関する登記申請手続きに伴う司法書士等に支払う作成経費
在庫処分費既存の事業商品在庫を専門業者に依頼して処分した際の経費
解体費既存事業の廃止に伴う建物・設備等の解体費
原状回復費借りていた設備等を返却する際に義務となっていた原状回復費用
移転・移設費用(I型及びIII型の計上可)効率化のため設備等を移転・移設するために支払われる経費
(事業承継・引継ぎ補助金(令和2年度第3次補正予算枠)公募要領より引用)

<専門家活用タイプ>

タイプ補助対象経費の区分
買い手支援型(I型)謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料
売り手支援型(II型)謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料
(廃業費用)廃業登記費、在庫処分費、解体費、原状回復費
(事業承継・引継ぎ補助金(令和2年度第3次補正予算枠)公募要領より引用)

事業承継・引継ぎ補助金が対象になる事業承継のタイプ紹介

(A)経営革新

従来の事業承継補助金です。例えば人件費や店舗借入資金、設備導入資金など、引き継いだ経営資源をベースに、企業をより発展させる取り組みに活用することができ、創業する人、代表者を交代する人、M&Aで引き継ぐ人が利用できます。事業承継以後の取り組みに対する補助を受けることができるタイプです。

創業支援型(I型)

経営資源を引き継ぎ、新たに創業する立場の人が申請できます。満たす必要がある要件は、以下の通りです。

  • 廃業を予定している者等から有機的一体として機能する経営資源を引き継いで創業して間もない中小企業・小規模事業者であること
  • 創業を契機として、引き継いだ経営資源を活用して経営革新等に取り組む者であること
  • 産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、一定の実績や知識等を有している者であること

経営者交代型(II型)

会社形態はそのままで、現経営者から新経営者に交代する立場の人が申請できます。満たす必要がある要件は、以下の通りです。

  • 事業承継(事業再生を伴うものを含む)を行う中小企業者等であること
  • 事業承継を契機として、経営革新等に取り組む者であること
  • 産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、一定の実績や知識等を有している者であること
  • 地域の雇用をはじめ、地域経済全般を牽引する事業等創業を契機として、引き継いだ経営資源を活用して経営革新等に取り組む者であること

M&A型(III型)

M&A(事業再編や事業統合など)により会社組織を変更し、引き継いだ経営資源をベースに経営革新に取り組む立場の人が申請できます。満たす必要がある要件は、以下の通りです。

  • 事業再編・事業統合等を行う中小企業者等であること
  • 事業再編・事業統合等を契機として、経営革新等に取り組む者であること
  • 産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、一定の実績や知識等を有している者であること
  • 地域の雇用をはじめ、地域経済全般を牽引する事業等事業承継を契機として、経営革新等に取り組む者であること

(B)専門家活用

従来の経営資源引継ぎ補助金です。例えばM&Aに掛かる仲介手数料やデューデリジェンス費用など、専門家に使うことができ、売り手、買い手共に活用することができます。事業承継時点およびそれ以前の取り組みに対する補助を受けることができるタイプです。

買い手支援型(Ⅰ型)

今後事業を行っていく立場(事業を引き継ぐ側)に掛かる費用について申請できます。

満たす必要がある要件は、以下の通りです。

  •  事業再編・事業統合に伴い経営資源を譲り受けた後に、シナジーを活かした経営革新等を行うことが見込まれること
  • 事業再編・事業統合に伴い経営資源を譲り受けた後に、地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業を行うことが見込まれること

売り手支援型(Ⅱ型)

事業を譲り渡す立場(事業を終える側)に掛かる費用について申請できます。

満たす必要がある要件は、以下の通りです。

  • 事業再編・事業統合に伴い自社が有する経営資源を譲り渡す予定の中小企業等であること
  • 地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業等を行っており、事業再編・事業統合により、これらが第三者により継続されることが見込まれること

経営革新 創業支援型(I型)を活用するには

経営革新 創業支援型(I型)は、経営資源を引き継ぎ、新たに創業する立場の人が申請できます。活用できるかどうかは、以下のフローを確認してみてください。

(事業承継・引継ぎ補助金(令和2年度第3次補正予算枠)補足説明資料より作成)

経営革新 経営者交代型(II型)を活用するには

経営革新 経営者交代型(Ⅱ型)は、会社形態はそのままで、現経営者から新経営者に交代する立場の人が申請できます。活用できるかどうかは、以下のフローを確認してみてください。

(事業承継・引継ぎ補助金(令和2年度第3次補正予算枠)補足説明資料より作成)

経営革新 M&A型(III型)を活用するには

経営革新 M&A型(Ⅲ型)は、M&A(事業再編や事業統合など)により会社組織を変更し、引き継いだ経営資源をベースに経営革新に取り組む立場の人が申請できます。活用できるかどうかは、以下のフローを確認してみてください。

(事業承継・引継ぎ補助金(令和2年度第3次補正予算枠)補足説明資料より作成)

申請手続きの流れ

応募してから実際に補助金入金に至るまでには、様々な申請手続きが必要になります。応募して採択されれば入金される、という訳ではないのでご注意ください。

具体的な申請手続きの流れは、以下の通りになります。申請企業側の手続きや事務局との連絡などは、基本的に全てポータルサイト(jGrants)上で行うことになります。

申請フォームや報告書の書式などは、ポータルサイト上に掲載されているものを使用します。本補助金の応募フォームについても、ポータルサイト上で入力項目を埋めていく形式となりますが、入力項目数が500件超と多いため、事前に別途公開されているExcelファイルに入力内容を準備しておいた上で、実際の入力は基本的にコピー&ペーストで済ませるようにしておきましょう。

まとめ

今回は事業承継・M&Aをきっかけに新しいチャレンジをしたい中小企業・小規模事業者を支援する「事業承継・引継ぎ補助金」について、特に経営革新タイプにフォーカスしてご紹介しました。支援が受けられる経営革新タイプには次の3つの類型があります。

「創業支援型(Ⅰ型)」…創業を契機として、引き継いだ経営資源を活用して経営革新等に取り組む者を支援

「経営者交代型(Ⅱ型)」…事業承継を契機として、経営革新等に取り組む者を支援

「M&A型(Ⅲ型)」…事業再編・事業統合を契機として、経営革新等に取り組む者を支援

ご自身の取り組みに活用できそうな型はありましたでしょうか。中小企業・小規模事業者の皆さまは、これからの会社の方向性や収益計画を立てていくためにどのような取り組みが必要なのか、ぜひこの機会に今後の方向性を考えてみてください。その上で、事業承継・M&Aを検討しているようでしたら、今回ご紹介した制度の利用もご検討ください。

この記事を書いた人
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峯尾喜一
(株)静岡銀行、アビームコンサルティング(株)、法政大学経営大学院を経て、2019年にヒューマンライト経営相談事務所を設立。 企業や経営者が、地域や家族からもっと愛され尊敬される存在となって欲しい。そのために、支援者として企業の魅力向上の支援をする。その想いで、経営課題の抽出からビジネスプラン作成、資金調達、IT利活用など、様々な中小企業の経営課題を伴走支援している。